今晩は、秋田様。
今年の9月は、雨続きですね。千葉県では浸水した場所も多く、秋雨前線が猛威を振るっています。たまには、カラッと晴れた空が見たいですね。
さて、今回は久し振りのSF紹介、ハル・クレメントの『アイスワールド』を取り上げます。
惑星サールの休暇中の中学教師ソールマン・ケンは、あるとき麻薬取締官から、とんでもない依頼を受けます。それは最近サールで広まっている新種の麻薬『タハコ』の密輸を阻止するため、潜入捜査官になって欲しいというものでした。麻薬業者はタハコの生産性を上げるため、化学に強い技術者を求めているのです。半ば強制的に捜査官になったケンは、麻薬業者レイ・ドライのもとで働くことになります。
レイは所在不明の太陽系の第三惑星にて、原住民からタハコを物々交換で仕入れていました。その原住民—地球人のウイング一家は、密輸に関与しているとも知らず、無人宇宙船を通じて『煙草』を金やプラチナなどの貴金属と交換しているのです。ケンは水星の基地にて煙草の栽培法を研究しますが、その最中、ウイング家の次男ロジャーが無人船の通信機を通して接触を図ろうとしていることを知った彼は、地球人に興味を持ち、地球の環境に耐える保護服を製作して、地球人との接触を図ろうとします。しかし、この行動をレイに知られてしまい…。
果たしてケンは、麻薬組織を潰滅できるのか? そして、その戦いに巻き込まれたウイング一家の運命は?
タイトルの『アイスワールド(氷の世界)』とは、我々の住む地球を指します。といっても、地球が氷河期を迎えているわけではありません。ケンたちの故郷は、平均温度が摂氏五百度(‼)の焦熱地獄であり、彼らは気化した硫黄を呼吸して生きている種族なのです。そんな彼らにとって、地球の環境は余りにも寒すぎるのでした(事実、太陽に一番近い水星でさえ、彼らには『冷たい』環境なのです)。このように、宇宙人の視点から見た地球の環境をタイトルにしているのが面白いですね。あと、サール人が恐れる麻薬の正体が、地球人の身近な嗜好品である煙草だったというのも、意外性があります。
作中、ケンは地球の環境を調べ、最終的には保護服を着て地球に降り立ち、ウイング家とはじめて対面します。この辺は、まさにファースト・コンタクトの醍醐味です。さらには思わぬアクション・シーンもあり、読み応え抜群です。
作者のハル・クレメント氏は、アメリカのハードSFの先駆者で、ユニークな宇宙生物や異星の環境を作品に登場させています。他にも面白い作品はあるので、また別の機会に紹介しますね。
それでは、(^o^)ノ < おやすみー